※ 2010年要領 | ※ 2009参加報告
イタリア北部の小都市・レッジョ・エミリアで世界3大コンクールの一つパオロ・ボルチア-ニ賞国際弦楽四重奏コンクールが3年毎に開催されていますが、一昨年からDirectorに就任したイタリアを代表するチェリスト、マリオ・ブルネロ氏の発案でコンクールの合間の年にワークショップを含む弦楽四重奏フェスティバルが6月15日(月)−21日(日)に開催され、マスタークラスで4組、アマチュアで8組のカルテット(2組は弦五)が参加し、日本からはカルテット3組+個人4名、合計16名が参加して、充実した1週間を過ごしました。
朝9時半から夕方6時半まで、途中2時間のランチ休憩をはさんで1.5時間単位で4セッション、夜の9時からフェスティバルのメインコンサートというのが基本時間割りで、午前の1セッションは一流の指導者のレッスン、午後はフェスティバルのゲストカルテットとの交流やマスタークラスの演奏家の卵たちとの合奏(マイナス1)など盛りだくさんのプログラムで、週末の街角コンサート出演が各グループの目標です。
以下、各参加者の印象記をご紹介します。
尚、来年2010年のフェスティバル開催日程は6月14日(月)〜20(日)で、再来年はコンクール開催年ですのでフェスティバル開催はありません。(永田雅夫)
マリオ・ブルネロは私の好きなチェリストの1人です。彼が絡んでいると言うだけでも行きたいと思っていましたが、実際行って見るとその内容は夢のように素晴らしいものでした。博物館の美しい絵に囲まれた部屋でリンゼイカルテットの1Vn、P・クロッパー氏(写真上)が先生として、彼の40年以上の経験を惜し気もなく注ぎ込んでくれた毎日のレッスン。
アルテミスカルテットのレッスン、マスタークラスのカルテットとのセッション、クレモナ・バス旅行など夢のような1週間でした。時間とともに思い出は薄れていくと思いますが、味わった音楽の響きや感動そして音楽を愛する人たちとの暖かな触れ合いは、これからの自分の心の座標軸として音楽だけでなく生きて行く上でも大きな指針になると思います。 フランチェスカさん、永田さんを始めとする事務局の方々の多大な努力に心から感謝申し上げます。 もうレッジョが恋しい。あの美味しいジェラートが、ドルチェが、そして何より、あの濃厚な音楽漬けの毎日が恋しいです。
その下の写真は私たちの練習場所ヤングパルムホールです。美しい絵が私たちの練習を見守ってくれました。観客席も用意されていて、毎日数人は椅子に座ってレッスンを聞いてくれました。レッジョの人が、コンサートのときに「君たちの練習を2回も聴いたけど、良かったよ」といってくれたのは驚きと喜びでした。
写真の左から2人目は私たちの練習場所を通って奥の部屋のカルテットを指導していた元イザイカルテットの1VN、C.ジョバニネッティ氏です。街角コンサート(右下の写真)の後、彼は「美しい演奏だった」といって、私たちを抱きしめてくれました。打ち上げにも参加して下さり、一番親しくなった外国人でした。心残りはクロッパー氏が用事で早めに帰国されたので、十分なお礼とお別れを言えなかったことです。そのことを残念がっていたら、ジョバニネッティ氏が「星空の向こうで彼が見守っているよ」といってくれました。サクラカルテットの仲間にそしてこのフェスティバルに関係したすべての人に心からの感謝を!


緊張したブルネロのレッスン(写真中)

練習場所ヤングパルムホール
写真の左から2人目は私たちの練習場所を通って奥の部屋のカルテットを指導していた元イザイカルテットの1VN、C.ジョバニネッティ氏

街角コンサート
Vcの臼田さんから、カルテットのレッスンを受けにイタリアに行かない?とのお誘いに、私はカルテットの事よりも、わあ〜、イタリアに行かれるのだという事の方に、気持ちが強くいってしまい、内容も良く聞かずに、行く〜、と即答してしまいました。
でも、行って本当に良かったです。日本でも室内楽の素晴らしいレッスンを受ける機会はありますが、何と言ってもReggioの古い歴史的建造物、街並みの中に、1週間浸ることが出来、しかも、レッスン会場は美術館で、絵に囲まれた芸術的雰囲気の中でというのが、弾くのにとっても良い気分にしてくれるのです。
講師陣も世界的な演奏家達ばかりで、素晴らしいレッスンをしてくださった事は勿論ですが、皆さんとても気さくで、ランチも一緒にしたり、器の大きさを感じさせられました。
また、主催者側でクレモナに連れて行ってくださったり、我々グループは午後のセッションのおさぼりを許していただき、ミラノ観光までしたり、本当に一生忘れられない、楽しく、充実した1週間となりました。
小さな町レッジョに、フェスティバルのために集まった大勢の人たち・・・。講師・参加者を問わず多くの方々と、セッションやランチを通して、日を追うごとに仲良くなり、知り合いの輪が世界に広がった気がしました。また、充実したプログラムをこなすうちに、室内楽にどっぷり浸かりました。
中でも思い出深いのは、優しくも熱のこもったレッスンを毎日受けられたことです。そして、最後の発表演奏会では、仲間達の想いのこもった演奏に胸が熱くなりました。 音楽でつながった仲間とフェスティバルでの経験は、私にとって大きな宝となりました。

私はチェロで単独参加しましたのでメンバーのアレンジは事務局に任せてVn1,Vn2,Vaが地元のイタリア人,Vc1がドイツ人,Vc2が私で曲目もブルネッロ氏からボッケリー二Op11,N5 G275を指定されました。メンバーアレンジに手間取っていたらしく曲が決まったのが私のイタリア出発1週間前でこれには閉口しました。難しいハイポジションの多い曲でレッスンが始まるまでは少し不安でしたが、でも気さくで熱心で優しくユーモア溢れる先生と陽気なメンバーたちとのレッスンは初日から笑い声が絶えずとても楽しいものでした。またブルネッロ氏とのワークショップでは自然の力に逆らわないという彼の音楽や人生に対するポリシーの様なものを感じ取る事ができました。
マイナス1も興味深い企画でわずかの時間でしたが一緒に演奏してマスタークラス受講の若者たちのエネルギーを少し分けてもらえた様な気がします。Reggio Emiliaの地元の皆さんの暖かいホスピタリティーと事務局の方々、又日本からの参加窓口になって下さった永田さんに深く感謝します。
6月15日から、イタリア北部小都市、レッジョ・エミリアという中世からの古い城郭都市で開かれた、国際弦楽四重奏フェスティバルに参加しましたのでご報告いたします。
私は個人の資格で参加したのですが、幸運なことに大変お上手なドイツ人4名のグループに配属(曲目はシューベルト弦楽五重奏曲)され、大変嬉しい思いをしました。4名の演奏者は全員フランクフルト在住でアイリーンさん(Vn.5年ほどプロのオケ経験者、主婦)エックハートさん(Vn.フランクフルトの文芸誌編集長、写真右端)ヘルムートさん(Va.元ラテン語教師、写真左から二人目)、アンドレアスさん(Vc.フランクフルト音大ライブラリー館長、写真左端)の方々(平均年齢は50歳前後)で、今回フェスティバルのために4名は事前にフランクフルトで集まり、3回も練習してきたという猛者ぞろい・・・というのが第一印象でした。レッスンはベニス合奏団の元ビオラ首席奏者のA.Farulli氏が毎日午前中に見てくれました。(この先生は伝説的なイタリア弦楽四重奏団のビオラ奏者の甥御さんです。)そして午後はイタリアの代表的なチェリスト、マリオ・ブルネロ氏、アルテミス四重奏団の第一バイオリン(Ms. Natalia Prishepenko)、カザルス四重奏団の第一バイオリン(Ms. Vera Mehner)の諸先生が、毎日代わる代わる一生忘れないような貴重なアドバイスをしてくれました。セミナー3日目を迎えるころ、先生から、週末にアマチュア・グループの先陣を切って我々が公開演奏をするという発表がありました。会場はPlazzo Sacratiという貴族の館の中庭みたいなところなのだそうです。それからは練習の雰囲気がガラリと変わりました


・・・・いままでの英語の会話がほとんどなくなり、代わってドイツ語の激しい喧嘩のような言葉のやり取りと、今までとはうって変わった厳しい表情の皆さん、ドイツ語の解るFarulli先生にどのような会話の内容なのか必死になって尋ねたのですが、「ドイツ語がわからなくて良かったね、とても訳す事なんか出来ないよ、バカバカしい話だ!」とドイツ人同志の揉め事に呆れる始末(喧嘩の原因は2楽章のビオラと第一チェロが遅れて、第二チェロの16分音符のソロが困ってしまう場面でした、私にも責任がありました)。でも暫くしてこのイタリア人の先生による素晴らしい授業(演説)が始りました。「いいかい、皆さんは遠くドイツ、日本からここレッジョ・エミリアに集まって、生きることの喜び、音楽の素晴らしさをシューベルトの音楽で表現するために集まってくれた。」「そしてそのような素晴らしい時間を助けるために私が今ここにいることに本当に誇りに思う。(それはいま思い出しても感動的なイタリア的名演説でした)」「あなた方はプロではないのだから、細かな技術的な議論をなるべく控えて、とにかく音楽の感動ために残りの時間を使おうじゃないか・・・」。一週間のレッスンの中で一番緊張した瞬間でしたが、レッスンの難しい状況を見事に収め、Farulli先生の音楽家のまごころに接し大変感動しました。そして先生をこれだけ本気にさせたヨーロッパ(ドイツ)のアマチュア演奏家の音楽へのこだわり、プライド、真剣さにもっと驚きました。
会期中に印象に残ったレッスンのアドバイスを3つほど挙げてみます。
(1)メロディーを歌おうとする(レガート)場合必ず他のリズムセクションから遅れることになる。合奏練習ではそこをどのように他人と折り合うかの交渉をすることだ。一人だけで歌える(レガート)ところはメトロノームを全く無視して、自由に演奏して良い。(M.ブルネロ)
(2)すべての合奏曲は、メロディー・セクションと、リズム(打楽器)セクションに分解可能、その役割を4人(または5人)が常にどの役割を担っているかを意識することが重要。(M.ブルネロ、C.ジョバネッティー:イザイー・カルテット)
(3)チェロが長い音符(2分音符のベース音等)などのあとによくある次のメロディーのアウフタクト(16分音符や8分音符)が遅れるのは、伴奏で長い音符を弾いているときに数えていないこと(ホッとして休んでしまう、思考停止)が原因で起こることが多い。メロディーを聞きながら(伴奏しながら)、一緒に数える(歌う)ことにより、自然に次のメロディーのアウフタクトが弾けることになる。(M.ブルネロ)
6月15日から5日間、リンゼイカルテットのファーストヴァイオリン奏者であったピーター・クロッパーさんに毎日1時間半のレッスンを受けることが出来、私にとって素晴らしい経験ができたので、その一部をご紹介します。
一つは、我々カルテットは組んで20年、必ず毎月1度集まり練習を重ねてきたとの自己紹介に対し、クロッパー先生の最初の一言、「これまで貴方たちは20年自分達だけで弾いて楽しむことで満足してきたようだけど、今回のワークショップでは、自分たちが作曲者の感情をどのようにとらえ、それを楽しんで演奏していることを聴衆にどのように表現するかを学んで欲しい。」であった。確かにこれまでは弾いたことで自己満足、それがアマチュアの特権とばかり、聴衆のことはあまり気にしたことがなかった。
もう一つは、カルテットは4人それぞれに必ず主役の部分が交代して出てくる、主役の部分はそれぞれに個性を出し表現し、聴衆の共感を得る。残る3人は主役がどう表現したいかを理解して主役が弾きやすいように合わせなければならない。この表現を可能にするためのテクニックということで、駒のそばを弾き強いしっかりした音を出す練習(ビブラートは小さい振幅でゆっくり)、必ず毎日5分しなさいとのアドバイス。また音質を変えたやわらかい音を出すための指盤の上を弾く技術を実演してもらった。なかなか先生の様にはできなかったが、これで我々の演奏もダイナミックス、音質の変化の幅が広がり、表現が単調でなくなったような気がした。
40年にわたり英国リンゼーカルテットを主宰してこられたクロッパー先生(英国シェフィールド大学教授)に月から金曜日にかけ毎日2時間近くレッスンを受けることができた。まず指摘されたのは、我々藤井カルテット内だけで自己満足して練習しているだけではダメだということ。君など20年もセコバイだけに埋没していたのか…と厳しかった。必ず聴衆に共感を得るような工夫が練習に必要である、そのためには全楽器がそれぞれ必要な部分で目立たないといけない。仮にピアニシモと書いてあっても、必要な場合はそのふりをして、なお駒の近くで目立つように弾くようにとのことであった。ロザムンデやハイドンOp.54-2をみていただいたが、それぞれ細かい部分で全楽器についてご自分のストラディバリウスを取り出し、お手本を示して下さった。我々の欠陥演奏のマネもとてもお上手で、理解がたやすかった。具体的な訓練方法も各種示された。2005年解散直前のリンゼーカルテットのDVD演奏の真面目な雰囲気と違って、ジョーク連発の指導であり、我々がすぐにピンとこないことも多く、「判ったか?判ったか?」と念を押さざるを得ないのがお気の毒でもあった。指導途中に先生が示されたモットーは、
The object of art is expression.
The essence of expression is imagination.
The control of imagination is form.
The ‘medium’ of all three is technique.
Herbert Witherspoon(注)
というものであり、この精神を忘れず、沢山の指摘ポイントをこれから消化していきたいものだ。
他にも、アルテミスカルテットのジーグル先生にもベートーヴェンOp.18-6もみていただけた。懇切丁寧な先生の指導にも感銘を受けた。
以上のレッスンがそれこそ無料で受けられ、またスペインのカザルスカザルスカルテットの指導を受けたり、マスタークラスのカルテットと交流したり、毎晩最高クラスの演奏会が格安で開催されたりと、あっという間に過ぎた夢のような一週間であった。
(注)form=structure、medium=手段、Witherspoon(1873-1935 米国のオペラ歌手)

一昨年より、イタリアのReggio Emilia国際カルテット・フェスティバルにおいて、マスタークラスのほかに、アマチュアのカルテット向けのレッスン及び交流企画を立ち上げるべく、フェスティバル音楽監督のマリオ・ブルネロ(チェリスト)さんと事務局のフランチェスカさんと昨年Reggioに夫が行き打ち合わせ、またその後メールのやりとりで夫が参画していた。大阪のAPA会員の大塚さん(Vc)がイタリアに年2〜3回滞在、フェスティバルに参加を検討中との連絡を受け、イタリア語も堪能でいろいろ助けていただいたりもした。そんなこんなを、傍で見ていて、本当に行けるのかなと疑問を抱きつつ時を過ごしていた。幸い、家族の協力を得て藤井カルテットのメンバーとして参加することができた。
忙しい中での事前準備は、企画が盛りだくさん過ぎて、6曲(レッスン曲3曲、マイナスワン1曲、他カルテットとの交流のため2曲)練習しなければならず、少し負担であった。ただし、他の参加メンバーと交流を図るには、言葉が堪能でないので合奏を通じてが一番手っ取り早いことは事実である。2日目に、他カルテット1組とメンバーを交替して1時間半ほど合奏した。その後、コンサート会場や練習場所で会っても、話しかけたり話しかけられたりし気持ちがなごんだ。事前準備がある程度きちんとできていれば、もっと楽しめたかもしれない。何といってもクロッパー先生の5日間のレッスンがすばらしく、また、毎晩のコンサートが刺激的で夢のような8日間を過ごすことができた。長年組んできたカルテットメンバーと同じ時間を共有できたことも最高の喜びであった。
今回の催しを初めて知った時、直ちにザイデル夫妻とのカルテットでの参加が思い浮かびました。 ザイデルさんは夫妻でヴァイオリンとヴィオラを弾き、拙宅近くの研究所にスイスから研究員として派遣されていた時、私ども夫婦とカルテットを楽しみましたが、昨年4月にスイスに帰国していました。早速メールで誘ったところ、丁度その頃に二人目の子供が生まれる予定なので残念ながら一緒できないとの返事でした。
そこで私どもだけの参加で宜しいか音楽祭窓口へメールで打診した処、事務局のフランチェスカさんから全く問題ないとの返事があり、単独で参加するオランダ人の耳鼻咽喉科医師のフランクとNYの女性弁護士のジュディスと云うヴァイオリン奏者とカルテットを組むとの連絡がありました。

Reggioのホテルでザイデル一家と再会した時の写真)
私どもは月曜の夜に現地入りしたので初対面の挨拶後、火曜日から金曜日まで、朝9時半から自主練習し、11時から13時はマルセイユ出身で元イザイ弦楽四重奏団の第1Vn奏者のクリストフ・ジョヴァニネッティさんに連日熱心に指導して頂きました。ただ残念なことは第2Vnのジュディスに基礎的な問題があり、彼女の為に余りにも多くの時間を費やした事でした。
昼食後は、アルテミス弦楽四重奏団のシーグルさんやカザルス弦楽四重奏団のヴェラさん等の指導もあり、最後に総監督のブルネロさんの指導も受けると云う文字通り「カルテット漬け」の日々でした。
金曜日最後の練習を終えてホテルに戻ると、受付から「ザイデルさんが土曜日の宿泊を予約して、こちらへ来る事になった。」との伝言を聞いてビックリしました。彼等は私どものホテルを調べて、態々スイスから電車を乗り継いでReggioまで、5月に生まれたばかりの赤ちゃんも連れて来て、感激の再会となりました。(添付写真ご参照)
さて、アマチュア・グループも練習の成果を聴衆に披露するプログラムがあり、我々のグループは21日(日)の午前と決まりました。
しかしフランクがプロの卵のマスタークラスのメンバーと合奏することを事務局に申し入れた様で、土曜日夜になって急遽、残りの三人はマスタークラスのVn奏者と今回練習していないハイドンを演奏するとの連絡があり、当日朝に一度だけ合わせて発表に臨みました。幸い目立った破綻も無く終える事ができました。
ザイデル夫妻は私どもの演奏を聴いてからスイスへ帰りましたが、フランチェスカさんに会って来年は是非この4人で参加したい旨を伝え、私どもにはスイスで練習してから Reggioへ行こう、と云っていました。次の機会に気心の知れた4人で参加できれば効率的にレッスンを受けられ、マスタークラスの練習見学、マイナス1参加なども予定に入れて、盛り沢山の企画をフルに楽しみたいと思っています。
カルテット フェスティバルの開催されたレッジオ・エミリアはエレガントで可愛らしい街です。ほとんどどこでも徒歩で行かれますので、中心部にはバスも路面電車も通っていません。滞在したホテルの玄関前からまっすぐプラタナスの並木道が伸びていました。よく繁った枝が涼しい陰を作っています。
ホテルを出て3,4分歩くと左側には、私たちが毎朝楽しく朝食をとった小さなバールがあります。右側は、正面を噴水のある広場に向けて立つ、フェスティバルの中心となったTeatro。鉄製の唐草模様のついた大きなドアを開けて入ると、中は大理石の床でほっとする涼しさ。いつも、冷たい水と籠いっぱいのアプリコット、そして笑顔のスタッフが私たちを迎えてくれます。お昼を食べに行ったり、どこかに出かけたりした帰りに私たちは必ずここに立ち寄り、お水をいただき、アプリコットをかじり、スタッフや居合わせた参加者達とちょっと言葉を交わしたりし、くつろぐことができました。

並木道の途切れた左側に立つ立派な建物が、私たちの練習場に決めていただいた美術館です。入口から、陶器の破片や人骨の並んだ陳列ケースの間をぬけ階段を上ると、二階には美しい絵がたくさん掛けてあります。その一画、壁で区切られてちょうど良いスペースになっているところに、椅子と譜面台を置きっ放しにして使ってよかったのです。16、17世紀の、マリアさまや天使の絵に囲まれて。それも、「大切な絵だから注意してね。」のひと言のご注意があっただけ。ヨーロッパの大人社会を感じました。
そろそろ夕暮れ、という9時に毎晩のコンサートが始まります。並木道の途中から、横にずっと広がる緑の公園に入り、そのまま横切ったところが会場です。カルテットの演奏を堪能した終演後、外に出るとほぼ11時。ようやく夜の闇が降りてきた公園を、足に夜露を感じながら戻っていくと、並木道の両側には街灯がともり、やわらかな光の列となって私たちを迎えてくれます。 「ああ、一日終わったなあ」と充実した心地でホテルに入り、そして翌朝また、この並木道の涼しい木陰を歩いて新しい一日のプログラムを始める・・・本当に幸せな一週間でした。 今でも、思い出の中でこの並木道をたどると、その先にスタッフやご指導いただいた講師の方々の笑顔が見えるようです。
フェスティバルの一週間、とても楽しかったです。毎日のレッスンでは、週末の街角コンサートで演奏する曲を先生が熱心に指導して下さり、楽しくレッスンを受けながらも、コンサートという目標がある事によって、さらに充実感と達成感がありました。
また、毎夜一流の方によるコンサートや、フェスティバル参加者による街角コンサートなど、たくさん音楽を聴く機会もあり、とても刺激になりました。先生方をはじめ、フェスティバルに参加した方皆が、音楽が大好きという気持ちで溢れていて国が違っても、音楽を通じて関わり合えるという事が本当に素晴らしいことなのだなと感じました。フェスティバルの一週間、音楽と向き合えたという充実感があり、本当に良い経験をさせて頂けたなと感謝しています。ありがとうございました。
◇国際的な弦楽四重奏のコンクールと併設のフェスティバルということでどんなに怖いところかと想像して戦々恐々として現地に入ったのですが、フェスティバルのスタッフは細やかに対応して下さって、第一回目開催であるにもかかわらず、参加者も受け入れ側も手探りのなかではありますが積極的にアクションできる状態であったと思います。
◇コンクール予備選であるマスタークラスも各国からの参加があり、若手の精鋭の方々の演奏を聴くのはもちろんのこと、「マイナス1」セッションなどで直に交流できる機会があったのが素晴らしかったです! お国柄が演奏に色濃く反映されていて感慨ぶかく、「もしかして逆に、日本のひとたちもそう思われてるのかな?」 と我をふりかえってみたり。 私たちもカルテットムーブメントという名の街角コンサートをしましたから、演奏を聴いていた方々に尋ねてみればよかった。
◇弦楽四重奏には3種類の楽器が必要ですが、イタリアの地方都市まで運ぶには少々難が伴います。 これについてずいぶん配慮頂いて、現地のヴァイオリンメーカーの協力によるチェロの貸し出しのシステムがありました。大きな楽器を飛行機に乗せなくてすむのは大変有難いことです。何せ料金が倍ですから・・・。 ヴァイオリンやヴィオラも素晴らしい楽器の展示や弾きくらべがあり、現地イタリアの楽器を弾いて試せて、なかなかできない体験でした。 演奏するなかで楽器というのはやはり大事なファクターなのだと、改めて気づかされました。
◇初回開催で困難もあるなか、現地スタッフの協力体制で一流のレッスンやコンサートを 連日体験できたことは今後の財産となりそうです。
先生方や関係者も素晴らしい方々で、今回こういうご縁に恵まれたことを心から感謝しています。
◇帰国する飛行機の中は日本人の方がほとんどになる中に、やはり大きな楽器を持ち込んだ わけですが、周囲の座席の方々にご迷惑をおかけして嫌な顔をされるかと思いきや「日本人が海外に出向いて勉強し交流を深めることは大変いいことです、がんばりなさい」 と逆に激励の言葉を頂き、楽器を弾く日本人としての自覚をさらに深めたのでした。(編集室注:この方は、日本からチェロを持参。)
ブルネロ氏の前々回の来日公演の合間に直接打診されて2年、曲折をへてようやく実現したイベントに日本から相応の参加をえて、無事に終わってほっとしています。
今後のために気になる参加費用をまとめてみました。
円払い:飛行機代(LHで成田−Frankfurt−Bologna往復)336,880円(内燃料チャージ37200円)
現地払い:宿泊代 Bologna1泊71euro、Reggio8泊520euro、朝食(コンチネンタル7回84euro、アメリカン2回48euro、昼食8回180euro、夕食7回210euro、コンサート代金6晩連続197euro、クレモナからの借用Vc保険料50euro 現地電車&タクシー40euro、コンサート後のスタンドバー5晩50euro小計1450euro=203,000円(140円/euro)、総額54万円/2人 でした。
但し、おみやげ代含まず、且つ夕食はいつもコンサート前で慌ただしくピザ、パスタ類で済ませていました。
注目すべきは、コンサート代とVcの保険料以外、クレモナへの小旅行を含み参加費が無料であること。この費用は、スポンサー及びReggio市当局の文化予算で賄われています。この参加費について、フェスティバル事務局へは、「この事業は国際文化交流ですから、参加費無料は参加側として気が引けるので、次回以降は是非、有料にして欲しい。但しあまり高くなく100か200euroで。」と申し入れてあります。
以下は、フェスティバルのWeb向け公式アルバムです。 以下のURLでお楽しみ下さい。
http://www.iteatri.re.it/Sezione.jsp?titolo=Archivio+fotografico%3A+rassegne+e+progetti+speciali&idSezione=422
Festival del Quartetto 2009
